ワニ皮のバッグを大ヒットさせたメーカーといえば

ワニ革、とりわけクロコダイルの皮でつくったバッグには、エナメルのような輝きと、幾何学模様的な美しい凹凸が、いかにも高級な質感をかもし出す。

いまでは、クロコダイルもどきのバッグも大量にでまわり、本物とはちがったレプリカのよさを売り物にしているメーカーも多いが、そんな風潮とは一線を画しか折り紙つきの一流メーカーがモラビト社だ。

1901年に、モラビト社はクロコダイルのバッグを発表。とくに子ワニの「べべ・クロコ」という作品は最高級のもので、別名「モラビトークロコダイル」ともよばれ、高価なものであるにもかかわらず、世界の貴婦人だちから注文が殺到したといわれている。

また、モラビト社のクロコダイルのバッグの愛用者には著名人も数多く、ロスチャイルド夫妻やフランスの有名な女優カトリーヌードヌーブ、さらにはフランスの歴代大統領なども名を連ねているそうだ。

ちなみに、モラビト社の一流メーカーとしての布石は、1905年にさかのぼる。

ナポリ出身のジャンーモラビトが、南フランスのニースで、バカンスに訪れる貴婦人たちのパーティー用イブニングバッグとして、バッグの口金にべっこうを使った斬新な作品を発表したことにあるとされている。

このヒットにより、上流階級のご婦人がたに一目おかれるようになったモラビト社が、決定的な大ヒットを狙って、世に送り出しだのがクロコダイルのバッグだったというわけだ。

一流の名をほしいままにしているモラビト社だが、花の都パリではなく、バカンスを楽しむニースというリゾート地にアトリエを開いたことが、ほかのライバル社に差をつけて、目立つことができたいちばんの理由だろう。モラビト社は、デザインのセンスや職人的な技ももちろんだが、自分の会社を売りこむ才能にも長けていたというわけだ。